世の中の富裕層はどんな金融資産を保有しているのか?それぞれの特徴を解説

2022.01.06

はじめに

今年9月、2021年時点6月末時点の国内の個人金融資産残高が1992兆円と過去最高となったというニュースが日銀から発表された。直近の株価上昇で株式や投資信託の残高が増えたことが大きな要因である。

このようなニュースからも金融資産でお金を増やしている人と言えば、株式で儲けているのでは?と思い浮かべる方が多いかもしれないが、実際には当然他にも様々な種類の金融資産が存在する。また、富裕層の方になればなるほど資産配分の観点から、より多くの種類の金融資産を保有しているケースも多くなると感じている。

これから金融資産での運用を拡大していきたい、資産配分の見直しが必要だと考えている方に今回は世の中にある金融資産の大まかな種類やそれぞれの特徴についてご紹介ができればと思う。ご自身の資産配分を考えて行く際には、金融商品の特徴やリスクを理解することは必須であり、また自分にとって本当に必要な金融資産を組み合わせていくことが長期的な運用の成果を決めると言っても過言ではない。

金融資産の種類はどれくらいあるのか?

まず金融資産の定義とは、実態はないが資産として評価額を換算でき、現金化できる資産のことを指す。定義上の金融資産は細かく数えれば世の中に多くあるが、今回は資産の性質から分類を行い、金融資産を現預金、株式、債券、投資信託、オルタナティブ、生命保険の主に6種類に分けさせて頂くことにする。そこで、まずは基本的な金融資産の種類を挙げて、それぞれの性質を簡単にご説明出来ればと思う。

現預金は特に説明不要だと思うが、これは日本円だけではなくドルやユーロなどの外貨も含む。現在、現預金は国内の家計の金融資産の50%以上の1000兆円を占めている資産になっている。アメリカの現預金比率は13%と数字を見ると、他国と比較しても圧倒的に高い数字であることと言える。株式、債券は金融資産の最もメジャーな資産であり、いずれも証券会社を通して購入することができる。株式は値上がり益を狙うのに対して、債券は主に毎年決められた利金を受け取ることを目的とする。株式は国内、アメリカ、中国などの世界中の上場企業、債券は国、企業、地方公共団体などと投資先の選択肢は多種多様だ。投資信託は定義上、投資家から集めたお金を一つの資金として集め、運用のプロが投資や運用する商品で、その運用成果が投資家に反映される金融商品のことを指す。投資する対象は株式、債券、REIT、それらが組み合わさっている物などがある。

オルタナティブというのは、日本語で言うと代替資産と呼び、伝統的な株式や債券とは異なるリスク、リターン特性を有している資産である。仮想通貨、プライベートエクイティ、一部のヘッジファンドもこれらに当てはまるだろう。生命保険は解約による払戻金や満期金のあるタイプの保険は貯蓄性があるため、金融資産に含まれる。

それぞれの金融資産の特徴

金融商品はそれぞれの性質毎に主に6種類に分けられ、その性質を理解した上で投資対象の選定を行って欲しいと思う。現預金は最も安全性と流動性が高い金融資産ではあるものの、昔とは異なる超低金利の時代の中で、運用という観点で見ると効率は当然良くない。伝統的金融資産の代表である株式は金融資産の中でも変動率の高い商品で、1日に5%、それ以上に上下することも多々ある。流動性は高く、株式市場が開いている時間には自由に売買することが出来る。比較的リスクの高い資産ではあるが、数年で倍になるなど大きな利益を目指す事が出来るため、今ある資産を積極的に増やしていく若い方や現役の方には特に向いていると言える。

一方、債券は国や企業などの発行体にお金を貸し、その対価として利金を受け取る仕組みだ。基本的には発行体が倒産しない限り、満期になると投資した金額が満額戻ってくる。そのためリターンは限定的だが、株式と比較すると値動きが小さく、リスクの比較的少ない商品性と言える。投資信託はプロの専門家が運用を勝手に行ってくれるため、自分で細かい売買の判断をする必要がないのが大きな特徴である。また日、月単位での積立買付が可能な投資信託も多いので、少額からかつ購入タイミングのリスクを抑えながら運用できる点もメリットだ。但し、商品によっては購入時の手数料や毎年の保有コストがかかるものもあるので、コストに見合う商品選びは重要だ。オルタナティブ資産は、株、債券などの資産とは異なるリスク、リターンを目指す資産で、あくまでも資産分散の補完的立場であることは認識して頂きたい。

しかし最近では特に仮想通貨が台頭してきており、法定通貨の強制力を保有していない独自の価値、市場を形成している。金額には注意しつつも、リスク分散を目指してオルタナティブを一部資産に組み入れることは富裕層の中ではメジャーになってきている。生命保険は貯蓄型の物であれば金融資産に含まれる。元来は保障を取ることを目的とする商品であるため、お金が将来増えて返ってくるからという理由だけで貯蓄型の保険を選ぶのは避けたいが、適切な範囲で保有することは検討できる。


まとめ

今回金融資産は主に現預金、株、債券、投資信託、オルタナティブ、生命保険の6つに分け、またそれぞれの資産の特徴を列挙させて頂いた。6種類の金融商品の中で、投資への関わり方や自分の性格、求めるリターンなどによって保有すべき物、その保有割合は異なってくるはずだ。各資産毎にリターン、リスクが異なるため、ご自身の求める投資目的と照らし合わせて、特定の資産に偏りすぎないように適切な形で資産を構築して頂ければと思う。

 

 

木村哲太

株式会社Wealth Solutions

ポートフォリオカウンセラー

早稲田大学国際教養学部卒業後、新卒で大和証券へ入社。主に金融商品を活用した富裕層向けの資産運用コンサルティングに従事。証券会社1年目のタイミングではAFPの資格を取得。その後、IFA(Independent Financial Advisor)として株式会社Wealth Partner、株式会社Wealth Solutionsへ入社。現在はお客様の資産運用、保全や資産形成層のお金に纏わる悩みを解決するお手伝い。