富裕層必見!意外にも知られていないプライベートバンクのメリット・デメリットとは?

2021.08.25

はじめに

世の中には資産が一定以上の富裕層だけがサービスを受けることのできるプライベートバンクという金融機関のサービスが存在する。プライベートバンクでは銀行、証券、信託、保険、不動産などを扱い、お客さんに合った資産管理の方法や具体的な商品提案から投資の実行をワンストップで行う。言わば、富裕層にとってお金周りのコンシェルジュ的な役割を担っている。

国内で言うと、日本の金融機関では野村證券や大和証券などの大手証券、メガバンク、大手信託銀行、外資系ではUBS、クレディスイスなどがプライベートバンキング部門を有している。では、実際にプライベートバンクのメリットやデメリットは何か具体的に列挙していきたいと思う。

 

運用だけにとどまらない提案の幅広さ

プライベートバンクのメリットは大きく分けて2つあると考えている。一つは顧客が受けることの出来るサービスの広さだ。普通の証券会社では部分的なニーズに対して株、債券、投資信託といった金融商品を販売することがほとんどだが、プライベートバンクは税務対策、資産承継や事業承継といった相続の課題など超富裕層ならではの問題に対しても多くの人員を割いて解決にあたってくれる。

プライベートバンクの社内には顧客担当者の他に弁護士、税理士、公認会計士などの専門家がおり、それぞれのリソースを集約した提案がワンストップで受けられるのが大きな特徴だ。日本の税率を考えると、富裕層にとってはお金を増やすことと同様に減らさないことが重要で、税務に関する悩みを相談できることも大きな長所であるはずだ。またプライベートバンクによっては、通常の証券会社や銀行では取り扱っていないようなヘッジファンドを購入することが出来るなど、商品のラインナップも多少異なってくる。

 

担当者との一生涯の関係が築ける

2つ目は長期的に担当者とお付き合いができるということである。通常、証券会社や銀行では数年が経つと配属される支店が変わるため、翌年には違う担当者に変わっているということが往々にしてある。そのため、顧客本位ではなく短期目線での担当者本位の提案になってしまうケースが残念ながら多い。一方でプライベートバンクは基本的には一度ついた担当者はしばらく変わることはない。例えば、自社株対策や相続対策には多くの時間を要するため、担当者はより長期的にお客さんの事を考える必要があるからだ。それによって提案内容自体も短期的な回転売買などではなく、長い目線での提案が期待できると言える。

 

最低預け入れ金額のハードルの高さ

メリットの一方で、プライベートバンクにもデメリットと言える点も大きく2つあると考えている。一点目としては、最低預け入れ金額の高さだ。基準は金融機関によりではあるが、最低でも2〜3億円程度は必要になってくる場合が多い。また直近ではその最低預け入れ金額のバーも高まりつつあり、残高が少ない口座には口座維持手数料が設定されてしまうというプライベートバンクも出てきている。また、一部のVIPがプライベートバンクの収益の多くに貢献している実情からも、数億円保有している富裕層の方でも必ずしも特別な待遇を受けられる訳ではない。

 

金融アドバイスの枠を超えることはできない

次に、プライベートバンクはあくまでも金融機関であるため不動産などの実物資産について基本的に扱うことはない。富裕層であれば本来、節税の観点からも不動産や太陽光などの実物資産も並行してポートフォリオを考えたいケースは多いはずだが、プライベートバンクは当然金融商品のフィーで成り立っているため金融での提案に偏ってしまう。ここは金融機関である限りはどうしても普通の証券会社、銀行と変わらない所だ。

 

自分に合ったアドバイザーを見つける

以上の様にプライベートバンクのメリット、デメリットを挙げさせて頂いた。長期的な関係を築けて、幅広くワンストップで運用を一任できることは大きな長所である。一方で預け入れのハードルや金融機関の枠を超えた提案を受けることは難しいというのも現状だ。メリット、デメリットを踏まえた上で自分のニーズに合ったアドバイザーをしっかり見極める必要があるだろう。最近ではIFAという金融機関から独立した形でのお金周りに関するアドバイザーも増えてきている。プライベートバンクは少しハードルが高いと感じられる方や不動産や税務を重要視している方にとっては良い相談先の一つになってくるはずだ。

木村哲太

株式会社Wealth Solutions

ポートフォリオカウンセラー

早稲田大学国際教養学部卒業後、新卒で大和証券へ入社。主に金融商品を活用した富裕層向けの資産運用コンサルティングに従事。証券会社1年目のタイミングではAFPの資格を取得。その後、IFA(Independent Financial Advisor)として株式会社Wealth Partner、株式会社Wealth Solutionsへ入社。現在はお客様の資産運用、保全や資産形成層のお金に纏わる悩みを解決するお手伝い。