今話題のスカイプレミアムの実態!また、投資案件における注意すべきポイントとはいかに? 

2021.10.06

はじめに

今年9月、証券取引等監視委員会は無登録で投資助言・代理業を行ったとして、シンガポールに本社があるスカイプレミアムインターナショナルと日本での営業活動を統括していた同社の最高営業責任者に対し、金融商品取引法に基づく業務の禁止と停止を命じるよう東京地裁に申し立てたというニュースが発表された。平たく言えば、シンガポールの法人であるスカイプレミアムが、「ライオンプレミアム」という商品を金商法所定の登録を受けずに勧誘していたということだ。

もしかすると富裕層の方であれば、一度聞いたことがあるファンドかもしれない。このファンドがそもそもどういった内容の物なのか、今回問題になっている実態を説明したい。また、今後投資対象を検討していく中で私なりに考える重要な要素をいくつか挙げたいと思う。

 

スカイプレミアムの概要 

スカイプレミアムは日本全国の投資家約2万2000人から約1200億円を集めていたということで、金額規模でもかなり大きいと言える。また、日本国内には500人程度のエージェントが全国で投資セミナーを開催するなどして営業活動をしていたということである。日本で免許を持たずに金融商品を提案していることに加え、そのファンドの中身にまで疑惑が生じている。ライオンプレミアムは海外の業者がFX取引を行い、収益を生み出しているという中身だということだが、投資家の資金はスカイプレミアムの説明と異なる複数の海外口座にお金が送金され、FX取引がなされている形跡も確認ができていないということだ。

つまり、違法性がある状態で勧誘行為が行われており、かつファンドのお金の流れも不透明という可能性がある。このニュースから、今後商品を解約する投資家も増えると思うので、

より詳細な実態が明らかになると予想される。

 

投資案件を見定める上で重要なポイントとは? 

世の中に無数に投資案件がある中で、投資すべき対象であるかどうかは最終的にはご自身で判断しなければならない。

投資案件を見定める中で、いくつか重要だと思うポイントを列挙したい。1つ目は所謂カストディアンと呼ばれる、運用会社の資産と運用資金を分別して管理し、投資家らの資産を保全するための機能を担っている機関が存在しているかどうかだ。通常のファンドであれば、投資家に代わる有価証券の管理を行う機関がしっかりと管理をしているはずなので、カストディアンが分からないような投資案件は避けた方が良いと言える。

また2つ目は監査法人がついているかどうかだ。毎月送られてくるパフォーマンス表を見て、順調に上がっているから安心だと考える方も多いのではないだろうか?しかし、そこに書いてあるパフォーマンスが本当の運用実績でない可能性もあるのだ。そういった事が起こり得ないように、第三者の監査法人がその投資対象の運用実績の妥当性を証明してくれる。逆に言えば、監査法人が入っていない物はその運用実績はベールに包まれていることを考慮する必要がある。

最後3つ目は業者が免許を保有しているかだ。金融商品であれば、販売、勧誘、投資助言などの行為は金融商品取引業として内閣総理大臣の登録を受ける必要がある。免許を取っていない投資対象に積極的に投資するのであれば、それ相応のリスクを負っていると認識すべきだ。

 

まとめ 

今回のスカイプレミアムが実際に詐欺的なファンドであるかどうかはまだ分からないが、このような形で、資金の運用や管理の実態が明らかでなく、資金の流れなどが投資家へ説明と異なるなど数多くのリスク要因が出てきたのは間違いない。

今回のケースは氷山の一角に過ぎず、数々の実態が正確に把握できない投資案件は存在する。いくら運用パフォーマンスが良い様に見えたとしても、投資したお金が返ってこないリスクを背負いながら生活する苦痛は想像に耐えない。そういった思いをすることがないように、多くの投資案件を目にする富裕層には是非上記の選定ポイントを参考にして頂けると嬉しい。

 

 

木村哲太

株式会社Wealth Solutions

ポートフォリオカウンセラー

早稲田大学国際教養学部卒業後、新卒で大和証券へ入社。主に金融商品を活用した富裕層向けの資産運用コンサルティングに従事。証券会社1年目のタイミングではAFPの資格を取得。その後、IFA(Independent Financial Advisor)として株式会社Wealth Partner、株式会社Wealth Solutionsへ入社。現在はお客様の資産運用、保全や資産形成層のお金に纏わる悩みを解決するお手伝い。