不動産投資3つのリスクと対策について

2021.10.01

はじめに

投資にはリスクがある。一般的に高リスクの投資対象ほど高リターンが期待でき、低リスクの投資対象ほど低リターンとなる。
不動産投資はミドルリスクミドルリターンと言われることが多いが、不動産投資のリスクとはなんだろうか。
本記事では不動産投資のリスクと対策に焦点をあてて説明する。

 

不動産投資3つのリスクと対策

不動産投資は他の投資に比べて金額が大きく、リスクの高いイメージがある方もいるかもしれない。しかし、実は不動産という投資対象はリスクもリターンも他の投資と比べて予想がしやすくそれを事前に把握しておけば対策を講じることが可能なのである。

今回は具体的なリスクと対策を3つの項目に分けて説明する。

 

空室リスク

空室リスクとは、所有している物件に借り手がつかず家賃収入を得られないことを指す。
入退去のタイミングで必ず空室期間はあるが、この空室期間が長くなることは不動産投資をしていく上での最大のリスクである。
当初予定していたリターンを受け取れないだけでなく、お金を借りて投資している場合は空室の有無に関わらずローンの返済は止まらないので自分の貯金からの手出しが発生することになる。
このリスクへの対策は好立地選択と管理会社選択の2点が挙げられる。
1点目の好立地選択とは、長期的な目線で賃貸需要の見込まれる物件の見極めである。


例えば地方都市で駅から遠いが大学が近くにある、大企業が進出していて賃貸需要が見込まれるなどのケースは要注意だ。現在の賃貸需要原因がそこに依存してしまっているならば長期的な目線での賃貸需要とはいえないだろう。
おススメは政令指定都市の中でも福岡・大阪・愛知・東京が挙げられるが、やはり長期的に見て最も安定しているのは東京である。
利回りや価格というだけではなく、リスクとリターンを吟味しながら好立地選択をすることが大切である。

2点目の管理会社選択とは、主に入居者募集に強い管理会社と契約を結んで経営を進めていくことである。
不動産管理会社は実は3500社以上が存在する。
その中でも実績があり信頼をおける管理会社を選ぶことが出来れば空室が続くことは少なくなるであろう。

 

家賃下落リスク

家賃下落リスクとは、収益物件で築年数が経過するにつれて家賃が下落していくことである。
当たり前のことのように思われるかもしれないが、これは当初よりもリターンが少なくなるということである。
対策としては家賃下落を見込んだ計画を組むことである。
下図をご覧いただきたい。
2013年に三井住友トラスト基礎研究所が出した「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」というレポートで、東京23区の経年劣化の家賃下落のデータが公開されている。

こちらを読み解くと築10年までが一番下落幅が大きく、シングルタイプはそれ以降の下落幅が抑えられていることが分かる。
一概には言えないが投資用不動産としてはシングルタイプを選ぶことがリスクをより低減可能であろう。

修繕リスク

修繕リスクとは修繕・設備費用が発生するリスクのことである。
入退去の際の原状回復費用、外壁や屋根の塗装などの大規模修繕費用、エアコンや給湯器などの設備交換費用が挙げられる。築年数が経っている物件の方がより費用がかかることになる。
修繕費を0にすることはできないため、対策としては修繕費を予想して事前に積み立てておくことである。
原状回復の費用としては入居者から預かる敷金も充当することが可能であるが、経年劣化の部分までは補うことが難しい。目安としては都内ワンルームの場合退去の際に1部屋あたり家賃の半分程度の手出しが出ると考えると良いだろう。
大規模修繕費用に関しては12~15年に一度の実施目安になる。


区分マンションの場合は毎月一定額を積み立てていくことになるが、1棟不動産の場合は自身で積み立てる必要があるので、見積を取るなどして事前に金額の把握をすることは可能である。
設備交換の費用に関しては各設備が何年に一度交換して費用はいくらかかるのかを予想することは可能である。
また、月々一定額を支払う事でこれらの修繕に対応可能な商品を取り扱っている管理会社や保険の商品もあるのでそちらの選択肢も候補に入れると良いだろう。

 

まとめ

今回は不動産投資のリスクと対策ということで3点に焦点を当てて説明した。
投資においてはリスクが必ずついて回るものであるが、不動産投資においては上述の通り予想と対策が取りやすいという特徴がある。
リスクとリターンの両側面から自分に適している不動産投資がなにかを見つけることが重要である。

中武 洸星

株式会社Wealth Partner

不動産ソリューション担当

早稲田大学商学部卒業後、大和ハウス工業株式会社へ入社。富裕層・地主に賃貸住宅での土地活用ソリューション提案に従事。東急リバブル株式会社にて投資用不動産の売買仲介を経験後、株式会社Wealth Partnerに入社。