はじめに

アメリカ不動産の価格は近年上昇をし続けており、日本の富裕層もアメリカ不動産への投資を検討している方は多いのではないだろうか。アメリカ不動産を選定するにあたって多くの要素を検討する必要があるが、特に「学区」は不動産価格に大きな影響を与える。

国内不動産を購入する際に学区という概念はほとんど語られることはないため、もしかすると多くの富裕層にとっては聞き馴染みのない言葉かもしれない。アメリカでは学区によってその地域の治安、生活レベルが日本以上に大きく異なってくるため、不動産価格の指標として判断される。今回は学区がどのようにアメリカ不動産の価格に影響してくるのか、その背景や理由、また学区の調べ方の解説をしていきたい。

日本を超える「超学歴社会」

アメリカ不動産と学区との関係性を語る上で、アメリカ全体の教育への考え方を把握しておく必要がある。アメリカという国は実力社会であると考えている方も少なくないと思うが、実は日本以上に学歴が重視される社会であることを認識しておくべきである。当然、学歴がダイレクトに社会における階級を左右するのは言うまでもなく、これはある程度日本でも同じことは言える。

ただ、アメリカでは同じ会社でも特に年収の高い仕事に就くためには、入社時に大学院の学位が必要になるなど学歴による圧倒的に大きな壁が存在する。日本のように少し名がある大学を出たからといってエリート街道を進める訳ではなく、アメリカ社会全体として教育にシビアな環境であることが伺える。そういった背景から収入が高く、また教育熱心な親は子供に可能な限りの良い教育環境を与えたいと望んでいる。

学区が不動産価格に大きく影響する

日本と異なり、アメリカでは公立学校でも学校間の教育レベルの格差が大きい。学区によって授業日数、授業時間、カリキュラムが大きく変わるケースもある。そのため、子供の教育に熱心な親は自分たちが住む地域の学区を選りすぐりする傾向がある。教育にお金をかける事ができる高所得の家族は子供を育てる場所として学区の良い地域を選ぶことになる。そうなると必然的にその地域には富裕層が増えていき、治安、景観、ショッピング環境も良くなり、地域として不動産価格が上昇するという好循環が生まれる。

不動産価格が上昇することによって富裕層が更に集まるようになり、地域としてのブランドが生まれ、プレミアムがつく、こうして不動産価格は上昇するという連鎖反応が起きている。逆に言えば学区が低い地域には富裕層は集まらないため、治安、住環境も劣ることになり不動産価格は上昇しづらい。

どのように物件の学区を調べるのか？

アメリカでは公立学校の評価が1から10段階で一般公表されており、すぐに調べることが可能だ。Greatschools.orgというサイトではその物件の住所を打ち込むと、その地域の学校ランク（School Rate）がわかるようになっている。1から4は平均より下、5、6は平均、7から10は平均以上という目安になっている。特に9、10は特に優秀な学校として判断される。

ランクがいい学区には教育熱心な高所得者が住むようになり、当然人気も出るため不動産価格は上昇していく。こういった事から隣の地域なのに学区が異なるという理由だけで不動産価格に大きな違いがあるケースはあらゆる地域で散見される。

▼Greatschools.orgはこちらから

https://www.greatschools.org/

まとめ

このように学区というアメリカ独特の概念がアメリカ不動産価格に大きく影響を及ぼす傾向は今後も継続していくだろう。もちろん、アメリカ不動産を購入する理由によってどの地域のどの物件を選ぶかは変わってくる。ただ近年のアメリカ不動産の価格上昇を考えると、キャピタルゲインが大きく狙えるというメリットは国内不動産では限定されてくるため、アメリカ不動産投資の醍醐味であるはずだ。

このように不動産価格に強い影響を与える学区がアメリカの物件選びの重要なポイントになってくるのは間違いないと思う。今後、アメリカ不動産の購入を検討されるタイミングでは、是非不動産の「学区」に着目してみて欲しい。