なぜ富裕層は敢えてヘッジファンドに投資しているのか?ヘッジファンドのメリット、デメリットとは?

2021.10.29

はじめに

投資家の方であればヘッジファンドという言葉を一度は聞いたことがあるのではないだろうか?近年、実際にヘッジファンドに投資をしている富裕層が増えていると感じる。

そもそもヘッジファンドとは何かと言うと、数多くの商品、様々な投資戦略を用いて相場に関係なく利益を出すことを目的にした投資信託のような運用商品である。主に機関投資家や超富裕層などといった大口の投資家がポートフォリオの一部に組み入れているケースが多い。公に募られる投資信託と異なり私募形式で出資者を募るため、通常の証券会社では中々目にするケースも少ないかもしれない。日本では情報が少ないこともあり、大口の投資家だけが運用するもので一般の富裕層には縁がないと認識をされている方が多いが、実際に日本の一部の証券会社などで購入することが可能だ。

富裕層がなぜ敢えてヘッジファンドに投資をするのか?ヘッジファンドのメリット、デメリットを列挙しながら説明が出来ればと思う。

相場の良し悪しに関係なく利益が出せる 

ヘッジファンドの大きな特徴はその自由で幅広い運用戦略にある。通常の投資信託は基本的にはロングオンリー、つまり空売りなし、買いのみの運用をしている。この場合、例えば去年のコロナショックのような相場が急落するタイミングでは利益を出すことは難しく、むしろ大きな損失を出すことになる。一方、ヘッジファンドは私募ファンドであるため自由に運用ができる点が大きなメリットだ。買いだけではなく空売りも組み合わせるロングショート戦略やアービトラージ戦略、様々な運用手法を組み合わせたマルチストラテジーのファンドも存在する。様々な運用戦略を用いて、株価が下落する局面でも利益を上げることができる、これが最大のヘッジファンドの強みであると言える。

リスクをヘッジ(避ける)するという言葉そのものである。株を多く保有している富裕層はヘッジファンドを保有することで、ポートフォリオ全体のリスク値を抑える働きも期待でき、分散投資にも一役買っている。

優秀なファンドマネージャーらによる運用 

ヘッジファンドを運用しているファンドマネージャーは華々しい経歴を持った超一流の運用のプロだ。彼らは365日相場と闘い、膨大な時間と労力をファンドの成果のために投下している。また、そういったファンドマネージャーは自身もそのファンドにお金を入れていることも多く、自らもファンドと一心同体になっている。成功へのインセンティブが大きいので、彼らもより本気で運用に力を入れていると言えるだろう。富裕層が百戦練磨のプロにお金を預ける理由の大きな一つだ。


運用コストが高い

ヘッジファンドは購入手数料に加え、年間の運用報酬、またファンドによっては成功報酬が存在するものもある。株式やインデックスファンドの手数料の減少傾向の昨今では、運用コストが高いのはデメリットと言える点かもしれない。

但しヘッジファンドは銘柄分析や市場調査にも労力をかけ、どんな相場でも利益を追求するため、コストがかかるのがある種仕方のないことでもある。重要なのは、そのコストを払ったとしてもそれを上回るパフォーマンスが出ているかだと言えるだろう。

情報の不透明さ 

ヘッジファンドは公募投資信託と異なり情報をあまり公開していないため、投資家が情報を得ることが難しい。仮に運用されている手法を他のヘッジファンドに真似されてしまうリスクもあるため、中身をブラックボックスにしているケースが多い。また最近、国内でもヘッジファンドを扱う業者が少しずつ増えてきており、一般の投資家でもヘッジファンドにアクセスができるようになってきた。その一方で実態が伴っているかわからない様な怪しいヘッジファンドもある。

上記の様な情報が不透明な中で、そのヘッジファンドは金融庁に認可されているのか、また監査人がどこの会社なのかといった様な遵法性に着目をして投資対象を慎重に選ぶ必要がある。

まとめ

ヘッジファンドにはいくつかのメリット、デメリットが存在し、まずはそれをしっかりと把握してから投資するべきだろう。ただ、富裕層にとって一般の金融商品とは異なる独自の戦略を用いて、高い運用実績を出しているヘッジファンドは魅力的な投資対象になってくるはずだ。既に数多くの金融商品に投資をしてきた富裕層がヘッジファンドに投資する理由は通常では見ることのできない優れた実績にあるのだろう。

 

 

 

 

 

木村哲太

株式会社Wealth Solutions

ポートフォリオカウンセラー

早稲田大学国際教養学部卒業後、新卒で大和証券へ入社。主に金融商品を活用した富裕層向けの資産運用コンサルティングに従事。証券会社1年目のタイミングではAFPの資格を取得。その後、IFA(Independent Financial Advisor)として株式会社Wealth Partner、株式会社Wealth Solutionsへ入社。現在はお客様の資産運用、保全や資産形成層のお金に纏わる悩みを解決するお手伝い。