米国株のトレンドと注目の個別株5選!今最も注目したい米国株のポイントとは?

2021.12.13

今最も注目したい米国株のポイント

今最も注目したい米国株のトレンド銘柄は「テスラ(TSLA)」と「エヌビディア(NVDA)」です。なぜならEV自動車、メタバース、AIという次世代技術において、この2社が業界を牽引する存在だからです。今回は米国経済の躍進を支える2社と米国経済のトレンドについて解説していきます。

【テスラ】

テスラの「モデル3」が6月の欧州市場における新車販売台数(ミッドサイズ)1位、全カテゴリーでも2位と躍進したニュースは記憶に新しいのではないでしょうか。日本ではまだまだEVが普及していないものの、いよいよテスラを筆頭にEV自動車全盛の時代に突入したと感じた方も多いはずです。

ではEVの中でもなぜテスラに注目なのかというと、今後もテスラ1人勝ちの状況がしばらく続くことが予想されるからです。なぜならEVの車載用バッテリーはリチウムイオンですが、このリチウムイオンは電化製品と同じく、月日を重ねて技術確信が進むことでコストカーブが急激に下がっていくビジネスモデルです。実際、2012年にテスラが発売した「モデルS」と他の自動車メーカーが2020年に発売したEVのスペックが同水準にあり、テスラは他の自動車メーカーよりも8年先を進んでいるのが現在の状況です。

技術開発競争においては基本的に先行者有利であることから、テスラは他の自動車メーカーよりも数段早い時期に低価格で他社よりも高性能なEV自動車を量産する体制が整いつつある状況です。

つまり3年先や5年先のEV業界はテスラが牽引している可能性がとても高いのです。

これらの要因からテスラ株はトレンドでありながら長期保有したい銘柄の一つと言えます。

 

【エヌビディア】

半導体大手のエヌビディアはメタバース銘柄として注目を集めています。その理由はメタバースに必要不可欠と言われるレンダリング技術をリアルタイムで可動させるためには、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)のプログラムが最も適しているからです。またAI(人工知能)の深層学習を支えているのはGPUですが、エヌビディアのGPUは既に自動運転、ゲーム、データセンターなど幅広い分野で活用されています。特にゲーム市場においては独占的なシェアをエヌビディアは獲得しています。

ではなぜエヌビディアに投資家の資金が集まるのかというと、エヌビディアが関わる「eスポーツ」や「AI」の市場規模の拡大が長期にわたって見込まれているからです。例えば2020年のeスポーツ市場の売上規模は約1165億円でしたが、2023年には約1758億円まで市場規模が拡大することが予測されています。またAI関連企業の売上高も2017年の約147億ドルから2025年には約3109億ドルまで市場が拡大することが予測されています。

つまりエヌビディアの本格的な事業拡大期は始まったばかりと考える投資家が多く、その期待がエヌビディアへ資金が集まる要因となっています。

これらの理由から、エヌビディアは米国企業ではGAFAMとテスラに続く時価総額1兆ドル企業候補の筆頭銘柄として期待されています。

 

メタバース、半導体、自動運転銘柄に注目が集まる理由

米国経済を中心に最もメガトレンドなキーワードが「メタバース」です。これはメタ()とユニバース(宇宙)を組み合わせた造語ですが、これはインターネットの仮想空間に自分の分身であるアバターを活動させてメタバース上にもう一つの現実を創り出すことを意味しています。

直近ではフェイスブックが社名を「メタ」に変更し、今後メタバース事業へ集中させる方向へと舵を切りましたが、既にゲームの世界におけるプレイヤー同士のコミュニケーションもメタバースの一例として挙げられています。その他にもリモートワークやVRなど、様々な領域が混ざり合う概念であることもメタバースブームに拍車をかけています。

またメタバース化した世界を実現させるためには半導体やAIの技術が必須です。そしてAIの機械学習を活用することで自動運転車も近い将来に実現されるはずです。

つまり、メタバース、半導体、自動運転の分野は互いに連携し混ざり合っており、例えるならインターネットにおけるブロードバンドが登場した時のようなインパクトが現在起きているのです。

こうした理由から次世代技術の代表格として「メタバース」が注目され、メタバースや半導体関連銘柄としてエヌビディア(NVDA)、クアルコム(QCOM)、ロブロックス(RBLX)、ユニティソフトウェア(U)、自動運転銘柄(EV)としてはテスラ(TSLA)やリヴィアンオートモーティブ(RIVN)などの企業の動向に投資家の関心が集まっています。

 

特に四半期決算が好調だった米国企業

SP500株価指数に組み込まれている銘柄のほとんどが四半期決算を発表しました。結果的に全体の約80%が事前予想を上回る好決算であったことから、米国株にポジティブな状況が続いています。今回、特に懸念されていたのが世界的なサプライチェーンの遅延により小売企業がクリスマス商戦に向けて商品在庫を確保できるのかが焦点でしたが、こうした問題もクリアされ、今年のクリスマス商戦は昨年のコロナ禍とは異なり、店頭販売の売上高が伸びることが予想されます。

もう一つの世界的な懸念材料は半導体不足の問題ですが、半導体企業各社からは半導体不足の解消が近いという発言が多くあり、半導体供給の目処が立ち始めていることもマーケットにはポジティブです。

今回の四半期決算で特に好調で印象的だった米国企業としては、クアルコム、エアビーアンドビーの2社が出色の数字を出し、決算を見る限りこの2社の今後の株価のアップサイドに注目です。

<クアルコムの決算> 

EPS予想$2.26に対して結果$2.55、売上高予想88.4億ドルに対して結果93.2億ドル、前年同期比の売上高成長率は+43.4%でした。

<エアビーアンドビーの決算>

EPS予想¢70に対して結果$1.22 、売上高予想20.6億ドルに対して結果22.4億ドル、前年同期比の売上高成長率は+66.7%でした。

 

12月に注目の個別株5選

ここでは12月に注目したい旬な5銘柄を選んでいます。各銘柄について解説していきます。

【ノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(NCLH)】

米国のクルーズ観光の王道はフロリダからカリブ海を1週間クルージングするツアーです。新型コロナの影響で観光業は大打撃を受け、クルーズ船もしばらく運航していませんでした。とはいえ既に再来年のクルーズツアーまでほぼ完売しており、現在もクルーズ船観光は根強い人気があります。ところが業界3位のノルウェージャン・クルーズラインの現在の株価は20ドル近辺を推移しており、これはコロナ前の半分以下の株価です。コロナ前のようにリゾート観光が回復すれば株価も上昇することが期待されます。

 

【エアビーアンドビー(ABNB)】

民泊の代表格であるエアビーアンドビーにも注目です。同社の発表によれば世界的な旅行需要の回復とともに更に売上高の成長が見込まれています。現在、世界192カ国、33,000の都市に80万以上の宿を提供しており、コロナ次第ではあるものの旅行需要の回復とともに株価も上昇することが期待されます。

 

【フレックスLNG(FLNG)】

フレックスLNGはバミューダ諸島ハミルトンに本社を置く液化天然ガス(LNG)船の会社です。最新鋭のタンカーのみを運航しています。現在、液化天然ガス価格は上昇しており、タンカー輸送するだけで莫大な利益を得ることができます。世界のガス需要は高まり続けており、2019年,20年と比較しても今年は更なる需要が見込まれています。特に経済成長が著しい地域においては液化天然ガスの需要が増加することが見込まれており、株価のアップサイドの余地が大きいことも魅力です。

 

【アルベマール(ALB)】

アルベマールは特殊化学薬品メーカーとしてリチウムの生産もしています。リチウムはアルカリ金属元素の一つですが、EV自動車の駆動にリチウムイオン電池は欠かすことができない要素です。またリチウムイオンの世界シェア1位がアルベマールであることから、リチウムへの投資を検討するならアルベマールが王道です。

ちなみにテスラ1台にiPhone1万台分のリチウムイオン電池が搭載されており、EVの普及を考えても長期で需要が見込まれると考えられます。

 

【ファイザー(PFE)】

株価チャートを見る限り、現段階で最も期待したいのがファイザーです。チャートは投資家が最も好む典型的な「カップウィズハンドル」を形成しており、新高値更新が期待されます。

また変異株「オミクロン株」に対しても開発中の飲み薬「パクスロビド」が有効な可能性が高いという認識をファイザーCEOが示しており、ファイザーの優れた研究開発能力を示す可能性が高いことも株価にはポジティブに働くことが予想されます。

鈴木林太郎

個人投資家

資産運用とアーティストの作品を収集するのがライフワーク。どちらも長期投資で成長していく過程を眺めるのが好きです。米国株投資がメインなので、主に米国経済や米国企業の最新情報のお届けを心掛けています。