今話題のFIREとは?~経済的に独立してお金の不安を解決するために~
2021.10.15
はじめに
最近、経済的独立&早期リタイアを目指すFIREが話題になっている。筆者自身も40代や50代の方から相談を受けることも多く、保有資産額や年齢に関わらず不変的なテーマでもありと感じている。今回はFIREを達成する為に必要なことを簡単に説明したいと思う。
FIREとは
FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとった言葉であり、経済的な独立と、早期退職を意味した言葉である。かつてはきちんとした企業に勤めてさえいれば、老齢年金や企業年金、退職金などでゆとりを持った生活ができたが、現在は老齢年金・企業年金の金利の低下や、平均寿命の上昇による長生きリスクを不安視する方が増えている。
経済的な独立や早期リタイアについては、最近のトレンドということに限らず誰しもが理想とすることではないかと考えているが、ここ数年で日本に限らず世界各国でFIREを目指す方が増えているという印象が強い。経済的に独立して、趣味や好きなこと、家族との時間を大切にしたいと考える方が増えているのも特徴である。
資産がどの程度あればFIREが可能か?
「資産がどの程度あればFIREが可能か?」と質問されることが多いが、1億円でもFIREを達成することができる方もいれば、5億円でも達成できない方もいる。大切なのは、「生活するのに毎年いくらかかるのか?」ということから逆算して考えることが大切である。
例えば、毎年500万円の生活コストがかかる方であれば、「運用収入+終身年金等の収入」を加味して500万円を達成すれば良く、仮に運用収入以外の収入が200万円ある場合は保有資産から生み出す運用収入を300万円程度毎年生み出せば良い。
安定的な運用が4%だとすれば、ざっくりと7500万円の運用資産があれば年間300万円の運用収入を生み出すことが可能である。
計算式は下記の通り
(FIRE達成に必要な収入)÷(運用利回り)=(FIRE達成に必要な資産金額)
仮に毎年2000万円ないと生活を維持することができない方は、
2000万円÷4%=5億円 がFIRE達成に必要な資産金額ということになる。
FIREを考える際に注意すべきこと
1.目標の運用利回りを高めに設定しすぎない
例えばアメリカの代表的な株価指数であるS&P500の過去20年間の平均利回りは10%を超えているが、運用利回りを10%としてFIREを検討するのには注意が必要である。確かにS&P500に20年間投資をしていればそれだけ増えているのだが、これは株式だけに集中投資していることや、今後もこの利回りを将来にわたって維持することが前提であるので、FIREの実現には安定的で多少の下振れも考慮した上で運用利回りを設定することが大切だと考える。
筆者は現在の指標金利(アメリカ国債の利回り)から3%程度高い、4%~5%で検討することが無難ではないか、と考えている。
2.インフレ率も検討に入れる
インフレ(物価上昇)が起こらない前提であれば、金融資産の債券で超長期債に投資を行い、長期にわたるインカムゲイン収入を固定させてしまえばFIREが実現できると思う。しかし、世界的にみて毎年3%程度のインフレが起こっていることを考えると、日本に住んでいる場合でもインフレリスクへの備えは必要だと考えられる。中長期的なインフレを考慮して、資産の入れ替えが可能な資産を保有したり、インフレに強い資産を持つことも大切である。
3.特定の資産に偏らせすぎない
FIREの実現にはゆとりを持った運用設計が必要と考えている。一般的にぶれ幅(リスク)が大きい資産の場合は、今年15%利益がでるかもしれないが、来年15%値下がりする可能性も大きく、安定的な資産で堅実に運用することが精神的な安定にも不可欠である。
基本的にはインカムゲイン型の資産(債券や不動産等)で毎年の安定収入を獲得し、キャピタルゲイン型の資産(株式等)でインフレリスクのヘッジを行うのが理想的である。
4.税金も考慮に入れる
運用利回りとともに大切なのが、税金も考慮に入れた資産設計を行うことである。富裕層の早期リタイアの際に議題に上がるのが資産管理会社の設立だが、資産管理会社は場合によっては所得税や相続税の圧縮にも繋がることがある。もちろん毎年のコストもかかるものではあるが、税金を考慮した運用設計を行うことで、無理に運用利回りを高める(リスクを取る)ことなく、FIRE実現が可能となるかもしれない。
終わりに
FIREの実現のためには、
1.毎年の生活コストを把握し、
2.運用収入がどの程度必要か試算し、目標保有資産額を逆算して、
3.安定的に実現可能な、再現性のある資産運用を行う、
ことが大切である。
FIRE達成の為に自分がいくら必要かを把握することによって、「資産がどの程度足りないのか」、「今後どのような運用をすれば良いのか」は変わってくるし、長期的な側面で準備が必要なことなので、FIREを検討している方の参考になれば幸いである。
FIRE達成の為に自分がいくら必要かを把握することによって、「資産がどの程度足りないのか」、「今後どのような運用をすれば良いのか」は変わってくるし、長期的な側面で準備が必要なことなので、FIREを検討している方の参考になれば幸いである。
人気記事 -TOP5-
公式Twitter