その投資案件大丈夫ですか?投資詐欺の実例と見抜き方
阿久津 健太
2021.08.18
近年、投資詐欺が増加している。世界的な株高や金余りによって「投資」を検討している人も増え投資マインド自体が大きくなっているのも要因の一つだと感じるが、今回は当社顧客からも相談を受けた実際のケースを基に詳しく説明したいと思う。
そもそも投資詐欺とはどのようなものか
投資詐欺で多いスキームはだいたい以下の2つである。
①ポンジスキーム
後から出資する投資家から新たに資金を集め、以前からの投資家には「運用益や配当金」と偽って渡すことで、あたかも運用によって資産が増え、利益を出資者に還元しているかのように偽る詐欺のスキーム。いわゆる「自転車操業」のスキームだが、途中までは実際にうまく行っているようにも見えることから、評判良い投資案件と思われがちである。
②ねずみ講スキーム
組織が大きくなるにつれて、上の人が下の人から発生する利益を吸い上げることができるスキーム。紹介制であることが多く、知人を紹介すれば自分にも紹介料が入ってくることや、紹介をすればするほど自分にメリットが生じる仕組みになっており、拡散しやすくなっている。
投資詐欺事例
ここでは、実際に私の顧客が詐欺にあったケースで、代表的な例を3つ紹介したいと思う。
CASE1 投資ファンド詐欺
ポンジスキーム。元本保証、毎月の配当金を3%保証するという内容。最低投資金額が数千万円で当初数年は運用がうまくいっていたことや、著名人も投資をしていたとのことで富裕層の間で流行っていた。株式や為替のトレーディングによって毎月安定した収益を出すことを約束するファンドが多いが、実際に利益を出しているのか、それとも偽って自転車操業的に資金を回しているかは外部から確認ができない為、破綻するまで詐欺かどうかが分かりにくい。金融庁に届け出を出さず勧誘しているタイプのファンドには注意が必要。
CASE2 FXファンド・自動売買詐欺
ポンジスキーム。CASE1の投資ファンド詐欺とも類似しているが、FX(外国為替)の凄腕トレーダーに運用を委託することで、マーケットの良い悪いに関わらず安定した利益が生み出せるというもの。運用報告は月に1回というファンドが多い中、実際の取引(取引通貨、金額)をリアルタイムで確認できるものもあり、実際に取引をしているように錯覚してしまう。
CASE3 仮想通貨詐欺
ICOやマイニング関連の詐欺が多い。ICOとはInitial Coin Offering(新規仮想通貨公開)の略で、新たに発行したコインを取引所に上場させる前に出資者を募り販売するもの。最近はあまり聞かなくなったが、ICO投資は数年前は個人投資家の間で流行っており、詐欺にあう人が多いケースだった。紹介をすればするほど新規通貨の配布数が多くなるようなねずみ講スキームで勧誘していたケースも多く、金額も少額投資が可能ということもあり詐欺にあう人が多かった。
投資詐欺の見抜き方
・元本保証・高利回りを謳うものには注意する。
投資の世界で元本保証は基本的に存在しない。どんなリスクの低い投資商品にも元本毀損リスクは存在するため、高利回りを謳う投資案件は尚更リスクが高いはずである。中でも月利3%を超えるパフォーマンスを保証する投資案件には注意が必要。全世界的に低金利の時代である今日で、年間数十%の利回りを投資家に保証するのは到底無理がある。
・金融庁に届け出があるかを確認する
きちんとしたファンドであれば何かしらの形で金融庁に届け出をしているはずである。日本の金融庁に届け出を出さない海外籍のファンドもあるが、それでも現地の国のルールに基づいて事業をしているかの確認は必要と考える。
・会社の登記を調べる
法人として事業をしている場合、念の為会社の登記を調べることも大切である。投資詐欺の中には実際に公表している場所にオフィスがなかったケースや、そもそも会社が登記されていなかった事例もある。会社の登記簿謄本はインターネットからも請求は可能なので、事前に調べておくことをお勧めする。
・信託保全スキーム、監査法人を確認する
投資ファンドの場合、基本的にしっかりとしたファンドであれば、投資家の資産がきちんと保全されるように分別保管されていたり、きちんと銀行での預かりがあることが明記されている。また、投資家に配布される月次レポートにも注意が必要。その過去実績が本当の実績なのかどうかを判断できるために監査法人に監査を依頼しているファンドは安心できる。
まとめ
近年投資詐欺も巧妙になりつつあり、スキームも複雑化しており詐欺かどうかの判断がしにくくなっている。特にポンジスキームの場合、途中まではきちんと配当や利益を受け取れる為、破綻するまで詐欺に気が付かないケースも多い。逆に、詐欺だと思えるような怪しい投資話でも、10年前のビットコインがそうだったように思わぬ利益を生む可能性もある。
そのような怪しくも魅力的に思える投資案件に出会い、どうしても投資を検討したいときはどうすれば良いか。その際は自分自身の資産の数%を上限として、無くなってしまっても取り返しのつく金額感で投資を検討することをお勧めする。
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